風流三昧 10首
雪月花我が友にして欲はなくそういふ人に我はなりたい
藁家に棲みて麦飯食む暮し清貧母子昔日懐かし
無風流なる男ありあまりに多し金物女我がものにして
俗塵にまみれて生きる自らを返り見ないのを俗人と言ふ
理不尽の悪口雑言投げ飛ばす荒んだ隣人憐れなるかな
風采にかかわらぬ人例えれば菊池寛とはその一人なり
深淵を裡に持ちたる人がほし形骸のみの多い周辺
一皮を剥けば獣に変らざる似非教師至る所にありて
永遠に清貧の書を書き続けそれを枕に眠らむと思ふ