虚子の9句、碧梧桐の7句

 観音寺での虚子の⒐句、碧梧桐の7句           昭和3年

宗鑑の墓に花なき涼しさよ    虚子

此の屋根の葺きおろされて涼しさよ虚子

此の像の御目なざしやほととぎす 虚子

柿の木もありて鐘楼や興昌寺   虚子

胡麻殻をいつまで干すや興昌寺  虚子

秋風や庵をめぐりて六十歩    虚子

俳諧の遠き御祖と墓拝む     虚子

春の波残し去りたる砂絵かな   虚子

春潮や海老跳ねあがる岩の上   虚子

 

松を見にきた砂を手で掻く松笠焚くほど  碧梧桐

一艘は出た亀島めぐる櫓声もーをおちに  碧梧桐

一夜の掟手枕のぬし一筆を染む      碧梧桐

浜から戻りても松の陰踏む砂の白きに   碧梧桐

座り松か砂をかきめの裾ひき松か     碧梧桐

筆草掘るので大師けなして裾を砂ずれ   碧梧桐

師走の柿奈良より届く笹敷いて      碧梧桐