子に向かってもらした言葉(永井隆)

 二人の幼い孤児予定者誠一、カヤノにもらした永井隆の言葉『この子を残して』より

(ある時)いわしから先に食うか?大根から先にするか?よい物から先に手を付けろ!いつ死ぬかわからんから⋯⋯

(ある時)友を選ぶなら、一番善人を選べ!そして一番悪い人も加えろ!教えられる。

(ある時)有名になるな!名前なんてものは、茶の間で、あめ玉がわりに一分間しゃぶられるれる゛けのもの。

(ある時)電灯が消えたくらいのことで、いちいち、アッと声を出すな!お父さんなんか原子爆弾が落ちた時、泰然腰を抜かしておったゾ。

(ある時)節約すべきは金ではない。時間と労力よ。

(ある時)科学とは真理に恋することさ。

(ある時)開拓者はさんざん苦労したあげくの果て、死んでいく。うまい汁を吸う役は後に控えている。

(ある時)「ありがとう」の一言で決算をすませる気にもならぬので、⋯⋯ご恩を借りておこう。

(ある時)決心は一生に一度しかするものではない。毎年元旦に新しい決心をする人があるが、あれは儀式サ。

(ある時)いちばん欲しいものは⋯⋯時間。

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  • 『この子を残して』長崎の原爆で妻を失くし、自らも被爆した医学博士が、自分の体験を後世に残すため書き綴る姿を描く。永井隆原作ノンフィクション。