カミユ作『ペスト』

コロナ災禍の今、関連する『ペスト』という名著。読むのはしんどいことながら⋯⋯

 ペストの太陽はあらゆる色彩を消し、どんな喜びも追い払った⋯⋯194*年、アルジェリアのオランにペストが発生した。猛威を振るう疫病を前に、一市民には何ができるのか。災禍の度に読み直される名作。

 災禍は人間の尺度で測ることなどできない。だから人びとは災禍は現実に起こるものではないと考え、やがて過ぎゆく悪夢と見做すのだ。しかし、悪夢はつねに過ぎゆくわけではない。悪夢から悪夢へと過ぎゆくのは人間たちのほうなのだ。(本書より)

『ペスト』は、「不条理文学」として有名な作品。 不条理文学とは、その名の通り、現実世界の不条理を描いた文学のこと。 カフカの『変身』という作品に並んで『ペスト』は不条理文学を代表する作品と言える。 カフカの『変身』が個人の不条理を描いた作品なのに対し、カミュの『ペスト』は集団における不条理を描いた作品となっている。