菊の酒

 今日は旧暦九月九日、重陽節句。菊の花を酒盃に浮かべて飲むと長生きできると言われている。慈童という人は菊の葉からしたたる露で霊薬となった谷の水を飲んだところ、七百年経っても少年のままであったという伝説による。

  草の戸に日暮れてくれし菊の酒 芭蕉

 鬼界が島に流された丹波の少将が海女の千鳥を恋して、これを俊寛に打ち明けた。このとき、酒などなくてこの島の山水を「菊酒」と思って飲むところがある。芭蕉は何を思ってこれを飲んだであろうか。

あなたもこれに肖ってくれることを祈ります。