もののふの八十少女らが汲みまがふ寺井の上の堅香子の花 大伴家持
春の野にすみれ採みに来しわれそ野をなしかしみ一夜寝にける 山部赤人
巨勢山のつらつら椿つらつらに見れども飽かず巨勢の春野を 春野蔵首老
春の苑紅にほふ桃の花下照る道に出で立つ少女 大伴家持
恋しけば形見にせむとわが屋戸に植ゑし藤波いま咲きにけり 山部赤人
朝顔は朝露負ひて咲くといへど夕影にこそ咲きまさりけれ 作者未詳
み熊野の浦の浜木綿百重なす心は思へど直に逢はぬかも 柿本人麻呂
紫草のにほへる妹を憎くあらば人妻ゆゑに我恋ひめやも 天武天皇
路の辺の壹師の花のいちしろく人皆知りぬわが恋妻を 柿本人麻呂
道の辺の尾花がしたの思ひ草今さらになど物か思はむ 作者未詳