万葉の花「かきつはた」

 
 常ならぬ人国山の秋津野の
       かきつはたをし夢に見しかも(1345)
 
 住吉の浅沢小野のかきつはた
       衣に摺り付け着む日知らずも(1361)
 
 我れのみやかく恋すらむかきつはた
       丹つらふ妹はいかにかあるらむ(1986)
 
 かきつはた丹つらふ君をいささめに
               思ひ出でつつ嘆きつるかも(2521)
 
  かきつはた佐紀沼の菅を笠に縫ひ
       着む日を待つに年ぞ経にける(2818)
 
 かきつはた左紀沢に生ふる菅の根の
               絶ゆとや君が見えぬこのころ(3052)
 
  かきつはた衣に摺り付け大夫の
       着襲ひ猟する月は来にけり(3921)
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