『万葉集』黄葉の歌

        『万葉集』 モミジ(ほとんど黄葉)の歌
2190: 我が門の浅茅色づく吉隠の浪柴の野の黄葉散るらし
2194: 雁がねの来鳴きしなへに韓衣龍田の山はもみちそめたり
2195: 雁がねの声聞くなへに明日よりは春日の山はもみちそめなむ
2196: しぐれの雨間なくし降れば真木の葉も争ひかねて色づきにけり
2197: いちしろくしぐれの雨は降らなくに大城の山は色づきにけり
2198: 風吹けば黄葉散りつつすくなくも吾の松原清くあらなくに
2199: 物思ふと隠らひ居りて今日見れば春日の山は色づきにけり
2200: 九月の白露負ひてあしひきの山のもみたむ見まくしもよし
2202: 黄葉する時になるらし月人の桂の枝の色づく見れば
2203: 里ゆ異に霜は置くらし高松の野山づかさの色づく見れば
2204: 秋風の日に異に吹けば露を重み萩の下葉は色づきにけり
2205: 秋萩の下葉もみちぬあらたまの月の経ぬれば風をいたみかも
2206: まそ鏡南淵山は今日もかも白露置きて黄葉散るらむ
2207: 我がやどの浅茅色づく吉隠の夏身の上にしぐれ降るらし
2208: 雁がねの寒く鳴きしゆ水茎の岡の葛葉は色づきにけり
2209: 秋萩の下葉の黄葉花に継ぎ時過ぎゆかば後恋ひむかも