辞書の裏

『国語辞書事件簿』石山茂利夫
 
『広辞林』(通り名・コージ林)漢語の見出し語に発音式仮名遣いを採り入れた。126144語収録。
『辞苑』新村出編。昭和10年刊。広辞苑の前身。コージ林をおさえ辞書界を席巻した。
広辞苑新村出編。長い間「国民的辞書」の座に君臨したが、編者の名義貸しが問題になっている。
新明解国語辞典』(通り名・新明解)独創的な語釈はあまりにも有名。それに魅せられて『新解さんの謎』『クイズ新明解国語辞典』の関連本が相次いだ。
『例解国語辞典』(通り名・レイカイ)時枝誠記編。豊富な用例と語釈の記述法に革命をもたらした。スタッフの大半は33歳以下の若者だった。三つの顔を持つ辞書。
大日本国語辞典』(通り名・大ニホン)松井簡治上田万年編。戦前を代表する初の大型国語辞書。大ニホンを「親甕」と仰ぐ辞書は多い。
日本国語大辞典』(通り名・日国)前身は大ニホンで、現在、最大・最高の辞書。丸谷才一は「高度経済成長下の日本人が成し遂げた、最も価値のある事業の一つ」と激賞。
 ミステリーの謎解きを思わせる、国語辞書をめぐる「事件」の真相。日本語と国語辞書をめぐる問題を多角的に取材し批判し続けてきた著者の瞠目すべき書。