芭蕉発句に添句の試み

  
     芭 蕉 発 句                雅 舟 添 句
 
086    石山の石より白し秋の風              半分、青し。青山春風      

106   芋洗ふ女西行ならば歌詠まむ     秋陽に晒す眩しきかひな

268   菊の香や奈良は幾多の男ぶり     イケメン業平垣間見る人

362  この心推せよ花に五器一具      旅僧にケイタイ風雅の心得
 
462   霜を着て風を敷き寝の捨子哉      平成の世も出産児遺棄

637   菜畠に花見顔なる雀哉          平安末年鈴愛踊り出る

713   蛤のふたみに別れ行く秋ぞ       サヨナラだけが人生だとは

883   めでたき人の数にも入らむ老の暮れ  老人福祉有難き世相   

953   世の夏や湖水に浮む浪の上        舟まだるこし水上スキー

975   煩へば餅をも喰はず桃の花        胃腸薬も飲み忘れがち   

●本来、連句(歌仙)においては、発句に付句(脇)を付ける。『奥の細道』の途次、土地の俳人連句を巻いた。
  大石田で日和を待つ間滞在していた宿の亭主一栄たちと巻いた歌仙が残されている。
       五月雨を集めて涼し最上川  芭蕉     岸にほたるを繋ぐ舟杭  一栄