芭蕉発句+雅舟添句=40句

 1 荒海や佐渡に横たふ天の河     芭蕉  
    芭蕉と語る宇宙飛行士      雅舟

2  あらたふと青葉若葉の日の光     芭蕉  
    東照宮はほどほどに去る     雅舟

 3 石山の石より白し秋の風       芭蕉
    青しと言ひ変へ青山秋風     雅舟

4 芋洗ふ女西行ならば歌詠まむ    芭蕉
    秋陽に晒す眩しきかひな      雅舟

5  憂き我をさびしがらせよ閑古鳥     芭蕉
   至福の時はわびさびの中      雅舟

6  馬に寝て残夢月遠し茶のけぶり   芭蕉
    西行の古歌小夜の中山      雅舟

7 梅が香にのつと日の出る山路哉   芭蕉
    靉靆とした春の行き先       雅舟

8  菊の香や奈良には古き仏たち     芭蕉
   据ゑ置くだけの粋な計らひ     雅舟

9  象潟や雨に西施が合歓の花           芭蕉     
   晴れ間待つ間に一筆啓上      雅舟

10  霧しぐれ富士を見ぬ日ぞ面白き    芭蕉
        ∞なる心象風景            雅舟

11  草の戸も住み替る世ぞ雛の家    芭蕉
   桃の節句も近づく庵                 雅舟            

12  この道や行く人梨に秋の暮      芭蕉
   正風目指す俳諧の道          雅舟

13  五月雨の降り残してや光堂      芭蕉
   かすかな蛍火値千金          雅舟

14 旅に病で夢は枯野をかけ廻る    芭蕉
   辞世ならねど最期の一句        雅舟 

15 狂句木枯しの身は竹斎に似たる哉  芭蕉 
    藪医者にして狂歌の才子      雅舟む

16 この道や行く人なしに秋の暮     芭蕉
    正風目指す俳諧の道        雅舟 

17 早苗とる手もとや昔しのぶ摺     芭蕉
    文字摺り石を偲ぶ信夫里      雅舟

18 五月雨の降り残してや光堂      芭蕉
    かすかな蛍火値千金        雅舟

19 閑さや岩にしみ入る蝉の声      芭蕉
    吾が肺腑にもしみ入るほどに   雅舟 

20 田一枚植ゑて立ち去る柳かな    芭蕉
    那須の芦野の遊行の柳        雅舟

21 旅人と我名呼ばれん初しぐれ     芭蕉
   其角亭にて関送りあり        雅舟

22  夏草や兵どもが夢の跡         芭蕉
    遠く遥けし矢叫びの音        雅舟

23 奈良七重七堂伽藍八重ざくら     芭蕉
    浮き立ちてゆく九重の臣       雅舟

24 野ざらしを心に風のしむ身かな     芭蕉
    高く悟りて俗に返るベし        雅舟

25 芭蕉野分して盥に雨を聞く夜かな   芭蕉
    茅舎の感の字余り名句        雅舟
 
26 初時雨猿も小蓑を欲しげなり      芭蕉
    猿も風雅を求める同志         雅舟

27  花の雲鐘は鐘は上野か浅草か     芭蕉
    閑居の悦びこれには過ぎじ      雅舟
 
28 蛤のふたみに別れ行く秋ぞ       芭蕉
    サヨナラだけが人生だとは      雅舟
    
29 一家に遊女も寝たり萩と月       芭蕉
    たまさか同宿真如の光        雅舟

30 文月や六日も常の夜には似ず     芭蕉
    デート前日気もそぞろなり      雅舟

31 古池や蛙飛びこむ水の音        芭蕉
    鳴き声詠むが古来の歌道      雅舟

32 道のべの木槿は馬に食はれけり   芭蕉
        馬酔木ならねば心配はなし           雅舟

33 むざんやな甲の下のきりぎりす    芭蕉
    謡曲実盛あな首実検         雅舟

34 名月や池をめぐりて夜もすがら    芭蕉
    深夜徘徊俳諧ならず         雅舟
 
35 物いへば唇寒し秋の風         芭蕉
    批判ではなく自戒の一句       雅舟

36 やがて死ぬけしきは見えず蝉の声  芭蕉
    前書きにある無常迅速        雅舟

37 山路来て何やらゆかし菫草      芭蕉
    春なほ寒き志賀峠道         雅舟

38 行く春や鳥鳴き魚の目は涙      芭蕉
    春愁の花何もむ語らず       雅舟

39 よく見れば薺花咲く垣根かな     芭蕉
    耳元で聞く故里の唄         雅舟

40 若葉して御目の雫ぬぐはばや    芭蕉
    鑑真潮風で盲目となる       雅舟

41  秋来にけり耳を訪ねて秋の風         芭蕉
    芭蕉千の風の一抹        雅舟