芦原すなおデビュー作『スサノオ自伝』の讃岐弁

  『スサノオ自伝』の讃岐弁の用例

「好きにもいろいろあるだろがい」

「おっさん、くらさんといてくれえ」

「おどれのような*ゴクドレ(極道者)は、どうせほんまの⋯」

「こないに(近頃)干しとる魚がぎょうさん盗まれるんじゃが」

「なにもしくさらん」

「おごかんから(叱らないから)戻ってこい」

 芦原作品はこの初期作品から生育地讃岐(香川県)観音寺弁を臆せず使用

しているのが特徴である。第105回直木賞受賞作品『青春デンデケデケデケ

で花開いたのも、この讃岐弁の活用があると思われる。

    作者が分かりにくい方言を( )内に標準語に直しているのがおもしろい。

  *ゴクドレ(極道者)は(穀つぶし)の方が正しい。