大陸に第二の故郷求め征きし父は満蒙開拓団長
新天地求むは侵略とは知らず聖業として渡満せし父
反故郷父の血を引く私は故郷の土地人皆捨て果てたるに
若き日はひたすら故郷厭離して帰らぬ所と決めてをりしに
落ち着かず転々として住むところ変えることなど癖となりたり
厭離せし故里慕ふ情けなき人となり果て舞ひ戻りたり
戦争未亡人母の最期を見守るが僅かな孝行であったかもしれず
若者を心豊かに育てるため文学教師ひたむきなりし
大望を抱きて離郷するよりも在郷にして誠実に生きむ
信じたる人に裏切られそれも越えただ故里に果てるも命