仁安二年~三年讃岐に渡って来ている。その時の歌『山家集』掲載歌
松山の波に流れて来し舟のやがて空しくなりにけるかな
松山の波の景色は変らじを形無く君はなりましにけり
よしや君玉の床とてもかからん後は何にかはせむ
廻り逢はん事の契りぞ有り難き厳しき山の誓ひ見るにも
筆の山にかき登りても見つるかな苔の下なる岩の気色を
折しもあれ嬉しく雪の埋むかなかき籠りなんとおもふ山路を
曇りなき山にて海の月見れば島ぞ氷の絶え間なりける
ここをまた住み憂くて浮かれなば松は独りにならんとすらん
久に経て我が後の世を問へよ松跡忍ぶべき人もなき身ぞ
敷き渡す月の氷を疑ひてひびの手まはる味鴨の群鳥