森のふくろう歌仙(10)「葉脈や」の巻

  森のふくろう歌仙(10)「葉脈や」の巻  8月18日満尾

葉脈や八月葉月心拍音      雅澄

 命を写す蓮の水玉       雅博

和の国に勝敗無視して暮らし居て  澄

 野分は分ける我か彼方か     博

猛暑に山で飛び出す盆トンボ   光瀧

 新月を待つ闇続く里       澄

まどひ来て夜深く目覚む潮の音      博

 西行の掌の悴みて温し      澄

米の出来指で弾いて占えば     博

 銅で喜ぶ黄金の顔        澄

小さくともキラリ輝く秋津島       博

 連句日記は永遠の今          澄

からたちは島倉千代子白い花    博

 夏燦燦とひばり明るく      澄

さんさんとさんざんの夏サバイバル 博

 生き過ぎたので命売りたい    澄

炎天下揺れに怯える人々か     瀧

 ガイアのくしやみアトラスの四股 博

オモダカが思ひ出川に咲き初む   澄

 朝の冷気に稲穂が垂れて     博 

昇天すこの世の栄誉地に残し    澄

 密かに立つや阿波の金次郎    博

遍路道阿波道伊予道讃岐道     澄

 知る術のない我の行く末     博

盆の供華造花もちらほら見受けられ 澄

 墓前に祈る家族平安       瀧

夏は朝雨は降らぬが露降りる    博

 繕いするすべ今人知らず     澄

あいさつは人と人とをつなぐ橋   博

 ありがとうとだけ言って逝きます 澄

かずかずに贈る言葉は「蒙御陰」    博

 南無阿弥陀仏他力本願      澄

阿讃越えここにも開く福成寺    博

 虫も聞けずや日々熱帯夜     瀧

日焼けせしまひろの肌もあらわにて 澄

  山は紫讃岐の背骨       博