万葉の挽歌~阪神の後追い心中~
神戸の美少女に、千沼壮士(大阪の青年)と菟原壮士(地元の青年)が恋焦がれて強烈にプロポーズする。娘はどちらも立派な青年で1人を選ぶことが出来ず、挙句の果てに入水自殺。これを知った大阪の青年が、後を追って命を絶ち、残された地元の青年もこれを悔しがって、後追い自殺(変則的後追い心中)。地元ではこれを憐れみ、娘のお墓を中央に、その東西に青年二人のお墓を建てて、菩提を弔った。
菟原に住んでいた女性。菟原は摂津国莵原、現在の兵庫県芦屋市あたり。「うなひをとめ」を詠んだものは、万葉集に、田辺福麻呂歌集(「過葦屋処女墓時作歌一首」巻9-1801~2)、高橋虫麻呂歌集(「見菟原処女墓歌一首」巻9-1809~11)と、「追同処女墓歌一首」とあるように、福麻呂・虫麻呂に追和した大伴家持の歌(巻19-4211~12)の3組がある。いずれも「娘子墓」に関する歌に登場する。
「うなひをとめ」の表記は、「菟名日処女」(巻9-1801)・「菟会処女」(巻9-1802)・「菟名負処女」(巻9-1809)・「宇奈比処女」(巻9-1810)