朗読する楽しさ

『朗読日和』長谷 由子
 まず、朗読の魅力が書かれている。文学作品の場合、黙読してしているときには気づかなかった臨場感を体感できる。登場人物の喜びや哀しみが我がことのように感じられる。また、朗読は想像力、イマジネーションの世界を大切にする。ただ文字を読むのではなく、そのものを読む。例えば、真っ暗な森と書いてあったら、真っ暗な森そのものを頭に描いて声に出す。辺りの風や匂いまで感じさせることができればいい。
 朗読の仕方、練習法についても述べられている。基本は、聴きやすい声で、はっきり読むことである。誰にでも分かるメリハリのきいた朗読には、フレージング、アクセント、イントネーション、プロミネンス、ポーズが大切である。
 文章を声に出して読む。その行為だけでも楽しいものであるが、朗読は聴く人がいて相乗作用をなす。人に聴いてもらう喜び、朗読を聴く楽しさ、そしてその場で感動を共有するすばらしさが味わえたら、それは至福の時に違いない。
 朗読作品用に「蜘蛛の糸芥川龍之介・「夢十夜夏目漱石・「よだかの星宮沢賢治・「レモン哀歌」など名作が挙げられている。