戦死した友を憶ふ 森川義信(自分も五年後二十五歳で戦病死)
友よ お前は二十歳
ひととき朔北の風よりも疾く
お前の額を貫ぬいて行つたものについては
もう考へまい
わたしは聞いた大きな秩序のなかに
ただ 激しい意欲を お前の軍靴の音を
わたしの力いつぱいの背のびではとどかない
流れよ幅広い苦悩のうねりよ
友よ二十歳の掌のなかで燃えたものよ
註 一九三七年冬北支にて戦死した上等兵安藤孝雄を憶ふ。
香川県観音寺市粟井町上野の一般墓地にある安藤孝雄之墓(土台も合わせ二メートル以上のべらぼうに大きな墓石 同窓生森川義信の墓石はない。なんという違いだろう。