『長崎の鐘』を詠む(10首歌)

①医科大生死生命あるその中に真理の探究象牙の塔に(その直前)

②長崎の浦上あたり上空に松茸雲の原爆ぴかと(原子爆弾)

③混乱は悪夢か地獄か口々に地球も終わり新型爆弾(爆撃直後の情景)

④身の回りの人僅かな救護大学の人八割死んだか(救護)

➄広島に続く長崎原爆に終戦の英断下るその夜(その夜)

⑥原子物理学に興味持つ日本人また犠牲者となる(原子爆弾の力)

⑦直接と間接傷害その他に残留放射線長く尾を引く(原子爆弾傷)

⑧今日もまた生き残りたる玉の緒の生命を尊く思ほゆるかも〈永井隆詠〉

白血病それに伴う症状や熱傷瘢痕後々までに(原子病)

➉自家血液刺激療法や肝臓野菜食療法に自宅静養(原子病療法)

⑪この貴い犠牲によりて世界の平和が再来するよう (壕舎の客)

⑫願わくは浦上をしてすべからく世界最後の原子野たらしめ(原子野の鐘)