春めく(10句)

春めくや鳩も夜ふかしして駅に　　　半沢正子

春めくや本を失くした金次郎　　　　西宮はるゑ

人の来て春めく波となりにけり　　　土屋粋月

ペダル漕ぐひとこぎごとに春動く　　馬淵雅子

寄する波の音柔らかに春きざす　　　重住志津子　　

犬ひきて春の兆しをさがしけり　　　小出ひかり

首すぢの風の感触春めくや　　　　　今井タミ

春めきてガソリン満タンどこへ行こ　市東笑夢

春めくや人の噂を尼もする　　　　　小林千代子

春めくや一本指で弾くピアノ　　　　藤井杏愛