書 憤
早歳那知世事難
中原北望気如山
楼船夜雪瓜洲渡
鉄馬秋風大散関
早歳那知世事難
中原北望気如山
楼船夜雪瓜洲渡
鉄馬秋風大散関
塞上長城空自許
鏡中衰鬢已先斑
出師一表真名世
千載誰堪伯仲間
憤りを書す
早歳 那ぞ知らん 世事の難きを
中原を北望して 気は山の如し
楼船 夜雪 瓜洲の渡し
鉄馬 秋風 大散関
塞上の長城 空しく自ら許せしも
鏡中の衰鬢 已に先づ斑なり
出師の一表 真に世に名あり
千載 誰か伯仲の間に堪えたる
若い頃は世の中に困難があろうなどと考えもしなかった。
ひたすら北方の中原を望んで気は山のように盛んだった。
雪の夜、兵船で敵方につっこみ、瓜洲の渡しで敵を撃退したこともあった。
また秋風の吹くころ鉄甲の騎馬隊で大散関を奪回したこともあった。
ひたすら北方の中原を望んで気は山のように盛んだった。
雪の夜、兵船で敵方につっこみ、瓜洲の渡しで敵を撃退したこともあった。
また秋風の吹くころ鉄甲の騎馬隊で大散関を奪回したこともあった。
辺境における万里の長城と自らを称していた私だがそれも今は空しく、
鏡の中の姿は老い衰えすでに鬢髪には白いものが混じっている。
かの諸葛孔明が書いた「出師の表」はまことに稀代の名文であった。
それから千年経っているが孔明に匹敵するような人物がいただろうか。
鏡の中の姿は老い衰えすでに鬢髪には白いものが混じっている。
かの諸葛孔明が書いた「出師の表」はまことに稀代の名文であった。
それから千年経っているが孔明に匹敵するような人物がいただろうか。
諸葛孔明「水師之表」(部分)