辞世10人10首
宗鑑はどちへと人の問ふならばちと用ありてあの世へと言へ 山崎宗鑑
露と落ち露と消えにしわが身かな浪速の事も夢のまた夢 豊臣秀吉
こし方は一夜ばかりの心地して八十路あまりの夢を見しかな 貝原益軒
今よりははかなき身とは嘆かじよ千代の住み家を求め得つれば 本居宣長
家もなく妻なく子なく版木なく金もなければ死にたくもなし 林子平
現し世を神さりましし大君のみ跡したひて我はゆくなり 乃木希典
池水は濁りに濁り藤波の影もうつらず雨ふりしきる 太宰治
益荒男がたばさむ太刀の鞘鳴りに幾とせ耐へし今日の初霜 三島由紀夫