能「松風」

             能「松風」
 在原行平と海女の恋 松風は、熊野松風に米の飯といわれるように、古来能としても謡曲としても人気の高かった曲。在原行平の歌をベースに、行平の恋の相手であった海女松風村雨の切ない思い出語り。

 ワキとアイの応対により、海辺の松は松風、村雨姉妹の旧跡であると説明される。作り物の潮汲み車が置かれ、一声があり、松風と村雨の姉妹が登場する。村雨は水桶を持つ。姉妹は在原行平との恋の日々を舞い、謡い、松風は大鼓前で床几に腰掛け、村雨はその後ろに座る。
ワキ僧はこの二人に対し、海人の家を一夜の宿とさせてくれぬかと乞う。三人の会話の内に、須磨に流された貴公子在原行平と海人の姉妹が恋を結んだ次第が語られる。美しい姉妹の容貌も恋情も身分違いの前には如何ともし難く、結局一途な恋は実ることがなかった。ここで姉妹は実は自分達がその昔の姉妹の霊であると打ち明け、平座する。
 後ジテは行平形見の烏帽子と狩衣をまとい、ツレと共に叶わなかった恋と行平を偲び舞う。やがて、「立ち別れ いなばの山の 峰に生ふる 待つとし聞かば いま帰り来ん」(在原行平)の歌に始まる中ノ舞から心が激して破ノ舞となり、夜明けと共に霊は去って行く。












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