【非望】とは?

馴染みのない言葉ですが、【非望】という単語が「勾配」と題する森川義信の詩の冒頭に二回繰り返されています。ともすると、「失望」「絶望」を連想されるでしょうが、「野望」に近く、「大それた望み」ですから、前向きの希望です。辞書の説明では「身分不相応な」という説明が付言されたりします。時代的には、前近代的な言葉ということになりますか。したがって、令和の今「非望」などは死語であり、使えば時代錯誤とのものとして叩かれるでしょうか。ただ私の母校先輩戦没詩人ですから、無視するわけには参りません。

非望のきはみ/非望のいのち/はげしく一つのものに向つて/誰がこの階段を⋯

このような時代を先取り、その〔危険な時代の下降線〕を予感したこの詩の真意を誰が読み取っているでしょうか。本日令和二年八月一日、戦後75年を記念する季節の時、先見の明のあったこの天才詩人の〔戦争勃発前の予言詩〕に注目してほしいと願わざるを得ないのです。

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