森川義信の代表作「勾配」詩碑 生家前(香川県観音寺市粟井町本庄)
非望のきはみ
非望のいのち
はげしく一つのものに向かって
誰がこの階段をおりていったのか
時空をこえて屹立する地平をのぞんで
そこに立てば
かきむしるように悲風はつんざき
季節はすでに終わりであった
たかだかと欲望の精神に
はたして時は
噴水や花を象眼し
光彩の地平をもちあげたか
清純なものばかりを打ちくだいて
なにゆゑにここまで来たのか
だがみよ
きびしく勾配に根をささへ
ふとした流れの凹みから雑草のかげから
いくつもの道ははじまってゐるのだ
令和4 年8月27日 四 国 新 聞
夭折の詩人をしのぶ 戦没80年をしのぶ 小説『詩人森川義信伝』を出版 ~名詩「勾配」~郷土史家が魅力紹介