春の漬物料理10句

ほろほろと泣き合ふ尼や山葵漬   高浜虚子

鼻高と酒くまん月の木の芽漬    中 勘助

人の世をやさしと思ふ花菜漬    後藤比奈夫

桜湯を含めばとほる山がらす    飯田龍太

蕗味噌に夜もさんざんと山の雨   鷲谷七菜子

筍と山椒味噌の青柳寺       田中冬二

アパートがつひの棲家か木の芽和  鈴木真砂女

蔵町の味噌田楽を箸にせり     角川春樹

鮒膾草津の駅は荒れにけり     正岡子規

なつかしき津守の里や田螺和(あえ)  蕪 村