春の気配 10句抄

春立つや愚の上に又愚にかへり   小林一茶

春立つと古き言葉の韻よし     後藤夜半

春立つとあかつき闇のほぐれつつ  久保田万太郎

立春 の朝霧しづる枯枝かな                 臼田亞浪

立春 の雪白無垢の藁家かな                 川端茅舍

如月を夢の中でも抱きしめる    花森こま

かもめにはかもめの白さ寒明ける  原 和子

春来つつあり万感と言う言葉    清水径子

春めくと梯子の上で父が言ふ    菖蒲あや 

春寒や貝の放さぬ海の砂      井上かつこ