昭和初め十七歳のお裁縫先生 その後僕を産むことになる
昭和二十年国民学校一年生担任二十歳のK子先生
独身の叔父はこの僕を吾子のごとく抱きしに 戦場から還らず
ソ満国境近い開拓団団長凍土に死せり「大地の父」よ
二人の子戦死させたる祖母にして 後継者なく家も無くなる
小豆島特有の連翹教えてくれた生物の先生 尺八も亦
新任時高三生徒弟妹のごとく親しみそして別れし
見捨てられ狂ってしまった女生徒を助けられずに時過ぎ去りし
高校時代塾の帰りの遭難死 担任生徒の母親の姿
接待を仕事に酒を飲み過ぎて退職間際に斃れし旧友