「恋」10句

恋地獄草矢で胸を狙い打ち    寺山修司

鞦韆は漕ぐべし愛は奪うべし   三橋鷹女

ゆるやかに着てひとと逢ふ蛍の夜  桂信子

づかづかと来て踊子にささやける 高野素十

春の夜や心の隅に恋つくる          五明

春雨の衣桁に重し恋衣       高浜虚子

春愁を消せとたまひしキスひとつ  日野草城

恋さまざま願ひの糸も白きより         蕪村

初恋や灯篭によする顔と顔          太祗

蚊を焼くや紙燭にうつる妹が顔        一茶