森のふくろう半歌仙(8) 令和6年6月20日満尾

水無月スイレン鉢を覗く猫  雅博

 わが家のメダカ誰が先生   光瀧

売り家と唐様で書く三代目   雅澄

 我流で歌う浪花節かえ     博

近隣でオリンピックと呼ばれたり 澄

 パリで花咲け阿部兄妹     博

負け犬が遠吠えをする人どこか  澄

 人の世の事四十九対五十一   博

瓢箪駒待てば海路の日和あり   澄

 貫之の船京へ難渋       博

ほととぎす平安京を筋違に    澄

 静けさだけが森や野覆う    博

抜け穴かくしきれないセーフ案  澄

 わが通ひ路は猫も知られず   博

総角にあこがれるのはぜいたくか 澄

 日本竹島韓国独島       博

久々にほろ酔気分くらうでい   瀧

 死国梅雨入り憂さ晴らし何   澄

窓に来て虫取るカエル腹白し   博

 鷺は樹上で共同子育て     澄

老いた人共に暮らすや特養で   博

 ある日蒸発捜索願い      澄

炎天で梅干す婆さん干からびる  博

 船路ならねど宇治へ鼻向け   澄

宇治川の先陣競う水激し     博

 屋島の海は源平血みどろ    澄

別府来て地獄めぐりの良い湯だな 博

 知恵を失う人工頭脳      澄

頭振り鉛筆舐めてグッアイデア  博

 窮余の一策吾子の名一策    澄

春日の灯思い万感万灯籠     博

 般若心経不可解の解      澄

唯円房 に歎く歎異抄      博

 自力他力の齟齬いかにせん   澄

干満差干潟の命育てるや     博

 謎掛け合うも名答出でず    澄