森のふくろう半歌仙 (15)「墨擦る手」

墨擦る手年輪増えて年明ける          雅博

 書き初めするや賀状返信           光瀧

蛇の道は蛇なる心蠢きて            雅澄

 いのちはぐくむ大地の温み          高雅

迎春も頌春もまだ名残り文字         澄

 はて迷子かなおお一巡り          博

猫族は干支にはずされ失恋中         澄

 青きシリウス遥かな想い          博

親友の年の瀬にして流れ去る         澄

 出合いがありて別離の悲しみ        瀧

雪の下春待つ草が目を覚す          博

 熊が人家に侵入するあり          澄

人見上げミャーと鳴く野良コタツ恋ふ   博

 犬派と猫派両刃の剣          澄

AIは奔馬の如きすぐれもの       博

 掃除ロボット家族が増える       澄

ギリシャ神話死ぬに死ねずに悪さする   博

 忍の一字で万事切り抜け        澄