1 手にとらば消えん涙ぞ熱き秋の霜 芭蕉
2 母の遺髪を見せられし月 雅澄
3 律儀にも彼岸花とは今咲きて 雅博
4 相変わらずのマスクに黙す 澄
5 雄弁に過ぎたる午後のセミしぐれ 博
6 青田を越えて珍客一人 澄
7 啄木鳥がコンコンコンとノックする 博
8 鳥人としてあなたを敬遠 澄
9 風になり不法侵入そのまがき 博
10 疑似餌に釣られ泣きべそ囮 澄
11 初鯛はやっぱり立派市場沸く 博
12 勝てば官軍尻馬に乗る 澄
13 賊となり駆ける大陸寒き月 博
14 義仲寺に建つ碑も凍ゆ 澄
15 一筋の陽の射す林息深く 博
16 千々に砕けて思ひ出が散る 澄
17 惜しめども花散る小径手の温み 博
18 芭蕉讃岐へ来る春の夢 澄