思い出のあの子この子 10首


           教え子 10首

   戦死せし父の思い出ないという新任の島の教え子幾人

   島を去る我を見送りたいという教え子あれど断わりしこと

   一別以来一度も会ったことのない半世紀前の教え子たちよ

   半世紀越えて毎年賀状来る島の教え子十人余りとなりぬ  

   教え子も孫のある身となり果てぬ時の流れのこの無残さよ  

   焼身自殺せし教え子の訴えを聞いてやれずに逝かしめし悔い

   障害児持つ親三人教え子の中にいるなりいとしきことよ

   障害をもつ教え子をもらってやれざる悔い今も残れる

   教え子に教師十人くらいはいる報恩ということは忘れず

   教え子は一万人は越えるけど賀状来るのは百人くらい 

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