恩師は一人

 
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 小中高と12人の担任の先生がいるが、消去法で恩師と呼べる人を残してゆくと、一人になってしまう。小学校(当時は戦時中なので国民学校)一年生の担任の女先生である。私の退職後開いている古典講座に十余年、毎月欠かさず聴きに来てくれる先生である。今では私の方が講師先生の立場ではあっても、この先生はあくまでも、いつまで経っても「岸上先生」という恩師である。国民学校初等科一年(昭和19年度)の時の習字で書いた「クニヲマモレ」が半世紀ぶりに私の手元に返ってきた。
 こんな宝物がほかにあるだろうか。
 大好きな先生が半世紀も大事に持っていてくれた教え子僕の習字。
 「クニヲマモレ」
 こういう戦時教育をしていたことに
 疑問と悔いを感じられてるだろうか、
 先生にお尋ねしてはいない。