忘れる嬉しさ

忘れ草萱草にしていっそのこと君のことなど忘れたい想い

別れても自分のこと忘れないでと勿忘草に託す儚事

忘れたいのに纏いつく過去のまぼろし悪夢のとりこ

記憶力減退にしていつの間にか悪夢の幻影から解き離れゆく

いつまでもこだわりのなく生きていく志なる忘却の神

忘却とは忘れ去ることなり忘れえずして誓う心の悲しさよ

うっかりミス忘失にしてそれほどの罪にならじと開き直れり

忘れ去るそれより前に覚えようとしたこともないそんなことあり

健忘症そんなことばを温めて認知症なる真っ只中に居る

忘れ去ることの嬉しさこだわればこの現実を生きてゆけない