「森のふくろう歌仙」(12)「もずが鳴く」の巻

「森のふくろう歌仙」(12)「もずが鳴く」の巻 10月20日満尾

もずが鳴く金切り声で何歌う    光瀧

 無花果の乱カラスに完敗     雅博

初めての座禅の娘に会い嬉しくて  雅澄

 木は切られても庵は安泰      博

詠み捨てた歌屑の中光るもの     澄

 五百年経て金の茅葺        博

文化財保護職人が念入りに      澄

 日々の暮らしを丁寧に編む     博

ゴキブリが這い回る夜つゆ知らず   澄

 すべての事にトキメキをもち    瀧

金の矢は遠く外れて失せにけり    博

 ブーメラン恋令和を射抜く     澄

欲の果て壊れた星の返り討ち     博

 涼しく生きる地球の涯で      澄

堂々と裏道を行く水滸伝       博

 ジャンヌダルクに荒城の月     澄

古きもの心引かれる無住庵      博 

 宗鑑法師にんまり一句       澄

猫が来て障子の穴を覗きをり     博

 三尺の子に俳諧させよ       澄

宗さんとかくれんぼして秋の暮    博

 阿波の想い出何でも知りたや    澄

秋祭り昔の想いどこ行った      瀧

 杉の大木今もなお立つ       博

くれないの高嶺ルビー蕎麦畑     澄

 夕陽に映える瀬戸の島々      博

燧灘伊予の高峯に雪降れる      澄

 龍馬の土佐は腰骨いごっそ     博

四国遍路お礼参りは高野山      澄

 とどのつまりはボラの親玉     博

五里霧中花鳥風月夢中泊       澄

 無為而成以長久          博

一夜庵令和の茶会に宗鑑は      澄

 丘に風吹く京の香り        博

僻陬に俳諧の種こぼれたり      澄

 リフォームなりて秋宗鑑忌     博