明治大正文学

朝露に濡れて

春の朝しとどに濡れて冷たい友優しかりつる友憶ひをり 雅人

時じく「朧月夜」

永遠の名曲時じく口ずさむ

落葉名句 10句

落葉名句 10句 留守のまに荒れたる神の落葉哉 松尾芭蕉 大空の深きに落葉舞ひ上る 高浜虚子 橿鳥と見しを落葉の降りかくす 水原秋桜子 朴落葉して洞然と御空かな 川端茅舎 落葉ふんで人道念を全うす 飯田蛇笏 落葉踏むやしばし雀と夕焼けて 渡辺水巴 もちの…

金色の鳥の形して銀杏散る

金色の小さき鳥の形して銀杏散るなり夕日の丘に 与謝野晶子

松根東洋城

〇とや鳥に一つの冬の月 東洋城 櫂〇〇舟はつなげるおぼろ〇 東洋城 夏草や土砂降り雨の脚を打ち 東洋城 20世紀日本人名事典 - 松根 東洋城の用語解説 - 明治〜昭和期の俳人 「渋柿」主宰 生年 明治11(1878)年2月25日 没年昭和39(1964)年10月28日 出生地 東…

漱石との対話

★ 拙著『芭蕉との対話』 (芭蕉の全発句に付け句)にあやかって 漱石の俳句 雅舟の付け句 3 西行も笠ぬいで見る富士の山 自ら名吟子規に笑はる 40 鐘つけば銀杏ちるなり建長寺 子規の真似句が有名になる 70 蓑虫のなくや長夜のあけかねて 季語とて使ったまま…

白梅、万葉・義信

戦没詩人森川義信の詩の「勾配」

『蒲団』のモデル「岡田美知代」

広島県府中市上下町出身「岡田美千代」

田山花袋の女弟子【岡田美知代】

自然主義文学の旗手【田山花袋】とその愛弟子【岡田美知代】=上下出身(府中市) 花袋からの直筆手紙 『蒲団』のモデル

雨の川原のオーシャンブル―

心ならずも来し川の辺の初時雨 雅舟

一葉忌によせて

「たけくらべ」見返り柳 樋口家先祖代々の墓 高校時代から一葉に惚れ込み、大学では国文科に籍を置き、一応卒業論文でも取り上げようと志していました。半世紀を経て、やっと大音寺前界隈、吉原の跡、見返り柳、一葉旧居跡、何より「一葉記念館」を初めて見…

今宵は十三夜

十月九日、今宵は十三夜、樋口一葉の名作「十三夜」を思い出さずにはいられません。 今宵は舊暦の十三夜、舊弊なれどお月見の眞似事に 團子 をこしらへてお月樣にお備へ申せし、これはお前も好物なれば少々なりとも亥之助に持たせて上やうと思ふたけれど、…

龍之介の辞世「水洟や…」直筆

水洟や鼻の先だけ暮れ残る 龍之介 *辞世用に死の数年前に詠まれた句

人と作品の追体験

『鷗外の坂』森まゆみ 「プロローグ『青年』が歩く」から文章が快調に展開する。作中の青年小泉純一が東京方眼図に従って歩く。坂の上と下、東京の貧富の差を地方出身の青年は三十分で実見する。著者もその追体験として歩く。歩行は、鷗外自身が精神の自由を…

童話「注文の多い料理店」

「注文が多い」とは、客側から注文を多くつけられるという意味に取るのが普通ではなかろうか。ところが、この童話では反対で、料理店側が客に注文をつけるのである。二人の客が山猫軒という西洋料理店に入り、次々扉を開けて中に入っていくにつれ、注文をつ…

落梅集

「落梅」=散り落ちた梅の花、または実。 どちらも指す。 島崎藤村の詩集『落梅集』 詩文集。島崎藤村作。1901年(明治34)刊。小諸時代の秘められた恋情の詩と自然詩から成る。「小諸なる古城のほとり」は有名。作者の青春への決別の意味をもつ。

大塩平八郎

『鷗外の歴史小説』尾形仂 七作品の考察がなされているが、「大塩平八郎」だけにしぼってみよう。 鴎外が歴史小説「大塩平八郎」を書く資料にしたものに幸田成友著「大塩平八郎」がある。これは綿密詳細な歴史叙述になっている。鴎外はその記述順序を組み替…

新しい女

『樋口一葉と十三人の男たち』木谷喜美枝 2004年、五千円札の「顔」に登場した頃の本書。タイトルで注目させようとして、この純情一途な閨秀作家・薄命の天才作家に不似合いの表題をつけたものだ。 この度初めて本書をひもとく機に恵まれ、短い生涯にめ…

果たさぬ恋

『一葉の恋』田辺聖子 さすがは女心の微妙さが描ける女流作家だ。文学研究家がたどる作品の論証には留まらないで、中井桃水へのほのかな恋心を憶測して、その深奥を活写している。 犀利な夏子は、それを察していた。彼女は桃水への恋心が、この世では果たせ…

心の宿の宮城野よ

(宮城野萩の真っ盛り) 島崎藤村『藤村詩集』自序より 二十五六といふ青年時代が二度と自分の生涯には來ないやうに、最初の詩集も自分には二册とは無いものだ。その意味から、曾て私はこれらの詩を作つた當時のことを原本の詩集のはじに書きつけて置いたこと…