「生涯の句は皆辞世」芭蕉の言 亡父は遺書に書き留めたり
それに従い我も今月初めより辞世のつもりで毎日歌詠む
大方はつまらぬ歌屑詠み流し生きて来れど更に詠み継ぐ
生涯に一首遺せばいいものを幾千万の 粗歌詠み散らし
自分のことで精一杯の人多し旅立つ時はやっぱり独り
紛れなく父母はあの世で待ち居らむ神仏御光ただ射す中に
悪口雑言吐いて逝きたる人もあり黙って旅立ちし佳き人あるに
梅の花夜明けるばかりとなりにけり蕪村のように爽やかに往きたし
はせを翁 夢は枯野を駆け廻る 妄執なくてさらりと往きたし
ひたすらに花鳥風月諷詠し怨まず悔いず永遠の命を
突如今 石原慎太郎卒寿訃報「人に憎まれて死ぬ」これが遺言