秋彼岸花の祈り歌10首

秋彼岸と頭に秋を付けるべし俳句の季語の約束煩し

秋彼岸今日も曼殊沙華にょきにょきと茎の出てくる勢い恐ろし

後の彼岸と春の彼岸と区別すること知らないで生きて来しかな

秋彼岸学び深まるはずなのに老い深まれば遊び深まる

曼殊沙華(か)と唄う歌ありちょっとした試みに世も趣き変わる

昔より暑さ寒さも彼岸まで今年の夏はやっと去り逝く

逝きし者また本来の国に還るお盆のごとく彼岸も同じか

虫の声大方はコオロギ閻魔蟋蟀顔が閻魔のようであるから

昼夜兼行コオロギ鳴ける執拗さ恋の心はかくあるべきや

南無秋の彼岸の入日赤々と沈める見ればこころ鎮まる

世の中は絆ではなくしがらみか