- 戦後の現代詩「荒地」のさきがけとも言われる詩
- 勾 配 森川義信
- 非望のきはみ ※非望=野望
- 非望のいのち
- はげしく一つのものに向かって
- 誰がこの階段をおりていったのか
- 時空をこえて屹立する地平をのぞんで ※屹立=高く聳え立つ
- そこに立てば
- かきむしるように悲風はつんざき
- 季節はすでに終わりであった
- たかだかと欲望の精神に
- はたして時は
- 噴水や花を象嵌し ※象嵌=模様のはめ込み
- 光彩の地平をもちあげたか
- 清純なものばかりを打ちくだいて
- なにゆゑにここまで来たのか
- だがみよ
- きびしく勾配に根をささへ
- ふとした流れの凹みから雑草のかげから
- いくつもの道ははじまってゐるのだ
親友 鮎川信夫の絶賛したことばを紹介しなければならない。