戦没後80周年、不如帰となって帰郷「森川義信」

  1. 戦後の現代詩「荒地」のさきがけとも言われる詩 
  2.     勾 配     森川義信
  3.  非望のきはみ                                    ※非望=野望
  4.  非望のいのち
  5.  はげしく一つのものに向かって
  6.  誰がこの階段をおりていったのか
  7.  時空をこえて屹立する地平をのぞんで   ※屹立=高く聳え立つ
  8.  そこに立てば 
  9.  かきむしるように悲風はつんざき 
  10.  季節はすでに終わりであった
  11.  たかだかと欲望の精神に 
  12.  はたして時は
  13.  噴水や花を象嵌し                ※象嵌=模様のはめ込み        
  14.  光彩の地平をもちあげたか 
  15.  清純なものばかりを打ちくだいて 
  16.  なにゆゑにここまで来たのか
  17.  だがみよ
  18.  きびしく勾配に根をささへ 
  19.  ふとした流れの凹みから雑草のかげから 
  20.  いくつもの道ははじまってゐるのだ

親友  鮎川信夫の絶賛したことばを紹介しなければならない。