幼き日祖父は日露戦争に出征していたことを語れる
撃ち合いをして立っていた時に銃弾踝を射抜かれたると
傷痍軍人として帰還せし国よりもらいし杖今もあり
露介などとソ連兵のこと語りしその話大方忘れたりけり
我が父はソ満国境近い所開拓団長で出征したり
満蒙開拓青少年義勇軍中隊長北辺防備に配属されし
アムール川(黒竜江)の向こう岸にソ連兵いることなど報せられたり
日ソ不可侵条約破棄されて開拓団は壊滅受難
シベリヤに抑留辛うじて遁れたり父はその時四十歳過ぎ
翌年に帰還するはず奉天で病死をしたり妻子を残し