初めての赴任地オリーブの枝のさやげる島にてありし
二十四の瞳の島よ真輝ける若者数多に囲まれ過ごす
にこやかに人なつっこく寄りてくる乙女に心許してしまう
オリーブの島と言うより連翹の島と言い張り顰蹙を買う
オリーブの収穫時期と伝えたるラジオの声に聞き耳立てる
オリーブの島を離れて六十年時の移りの非情なるかな
新任地この島である偶然を必然として詩文に記せり
その歌詞のこぼれ咲きこぼれ散る小豆島山忘らりょか
楽譜のような枝とその実よ我が詩譜となりてしまえり
小豆島歴史のかなたに薄れゆき蘇生する日のありやなしや
オリーブの歌
1 夢も楽しいそよ風に みどり明るいオリーブの
枝がさやさやゆれている
ああ 恋を知り恋に泣く 島の乙女の胸のよに
2 いつかあなたとあの丘で 姿やさしいオリーブの
銀の葉かげに頬よせて
ああ こぼれ咲きこぼれ散る 白い花びら数えたね
3 瀬戸の岬に南欧の 海を偲べばオリーブの
実る葉風が君を呼ぶ
ああ 青い空青い波 小豆島山忘らりょか