乃木希典「一句の講演」

「諸君、私は諸君の兄弟を多く殺した者であります」乃木大将は講演に招かれたにもかかわらず、頭を垂れ、やがてはらはらと涙を流し、遂にハンケチを出して顔を覆いすすり泣くばかりであった。自身二人の息子を戦死させているだけあって、世の親の気持ちが分かるのだった。(佐々木英昭乃木希典ミネルヴァ書房

 善通寺第十一師団長として単身赴任、妻静子には戦時の心得を説く。札所金倉寺に寄寓、質素な暮らしをし、いかなる訓練にも参加、兵士と労苦を共にし、新師団の育成に心血を注いだ。(大濱徹也『乃木希典講談社学術文庫

「妻返しの松」があって、妻静子がはるばる東京から訪ねてきたが、顔も見ずに追い返したというエピソードが残されている。(『讃岐人物風景~乃木希典四国新聞社)