碑陰

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   郷土の先人、享保14年(1729) 没 宇喜多勝康の辞世
        きのふまで晴るの我身のしぐれきて
               かく消やすき露の世なるを 
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       碑 陰
「碑陰」とは石碑の背面のことである。正面だけに書かれて、碑陰には何も書かれていないものもあるが、大抵の場合なんらかのいわれが補足説明されている。文学碑の場合、碑主(作者)の名前、建立者の名前、建立年月日など。縷々詳しく補説が碑陰に書かれていても、なかなか目を通してもらえない。 彫りが浅く、風雨に曝され歳月を経て磨滅して、読み取りにくいものもある。 
 書物・印刷物は詳しく記され、こちらの方が永続性があって、便利でもあるが、自由に閲覧できない。その点、一般に開放されいつでも見られる「碑(いしぶみ)」はそれなりにいいものだ。表に感動的な言葉の刻まれた【文学碑】(歌碑・句碑・詩碑)はそれだけで完結しているはずでいい。解説は不要とも言える。ただ親切なのは碑陰のあることだ。
 墓碑の場合、碑陰的に「辞世」が刻まれていると、そこに人となり・心性が表われて人間性に触れられていいものだ。記念碑・顕彰碑も客観的事実の記載に終わらず、歌句などが添えられていると、親近感が湧く。