平成万葉歌仙(十六)「安見児や」の巻

平成万葉歌仙(十六)「安見児(やすみこ)や」の巻 両吟   不遜(捌) 宣長

                         満尾 平成二十一年二月十九日

 吾はもや安見児(やすみこ)得たり皆人の得かてにすとふ安見児得たり  (藤原鎌足・万2-95)

 発句 安見児(やすみこ)や二月一日発句とす  不遜  冬
 脇   幸先もよき節分の豆               宣長  冬 
 三  春一番雨モマジテ強烈ニ              不   春
 四   玉笛の声落梅の曲                宣   春
 五  千曲川暮れゆく流れ朧月             不   春 月
 六   仄めかしにて危うさ逃る             宣   雑
 ウ
 一  日本の野山を埋める若葉風          不   夏
 二   新茶摘む娘に祖父のねぎらい        宣   夏
 三  火山燃ゆ吾が想いをば伝えてよ       不   雑 恋
 四   壷中に深く秘め恋籠めて          宣   雑 恋
 五  あらためてバレインタインの誓いの日    不   雑 恋
 六   虚々実々の駆け引き続く          宣   雑
 七  枯野行く鞭声肅々吟じつつ          不   冬
 八   孤峰に冴ゆる荒涼の月            宣   冬 月
 九  渓山の蓬茅の下白き虎             不   雑 
 十   苛政猛なり自殺者増える           宣   雑
 十一 花盛り悪鬼は土で酒盛りぞ          不   春 花
 十二  春の雲逝く四国霊場             宣   春
 ナオ
 一  レンゲ田に今年の丑が暴れ出す      宣   春
 二   「アーウー宰相」讃岐の大平        不   雑
 三  言えますか「粗にして野だが卑ではない」 宣   雑 
 四   そうかもう、もうきみはいないのか     不   雑
 五  原爆詩熱砂の夏を歌い継ぐ         宣   夏
 六   セピア色した麦わら帽子              不    夏
 七  槻の下少年の日の聖少女           宣    雑 恋
 八   切なき追慕今も瞼に                 不    雑 恋
 九  檸檬哀歌トパアズ色の恋奏で        宣    雑  恋
 十   たまゆらの夢ただほのかなり        不    雑 恋
 十一 有明の月白露を玉と見せ          宣    秋 月
 十二  茅舎の里も水澄みにけり           不   秋
 ナウ
 一  園寂びて滅びの光柿落葉          宣    秋
 二   朦朧酔顔大臣首か               不   雑
 三  ありがたく涙溢れる模範例           宣   雑
 四   江戸の端唄の「しょんがいな~」      不   雑
 五  鄙都いずれ麗し花大和             宣     春 花
 六   壁も卵もみな春麗ら               不   春