平成万葉歌仙(十七)「日の本に」の巻 両吟 宣長 不遜(捌)
満尾 平成二十一年三月八日
本歌 神奈備の岩瀬の社(もり)の呼子鳥いたくな鳴きそ我が恋増さる (巻8ー1419・鏡王女)
発句 日の本に響(とよ)もして鳴け呼子鳥 宣長 春
脇 下野は雪春の野に雪 不遜 春
三 沢に出てゑぐ摘む乙女裾濡れて 宣 春
四 子犬が二匹母犬を追う 不 雑
五 爽やかにホルン角笛鳴る夜明け 宣 秋
六 こぼれる月を一身に受け 不 秋 月
ウ
一 一頁読む毎天は高く澄む 宣 秋
二 ちちろしきりにちちははをよぶ 不 秋
三 事実婚これも孝行現代版 宣 雑 恋
四 「おくりびと」から恋文届く 不 雑 恋
五 消印は同日同所同じ人 宣 雑
六 歴史に刻むテロの数々 不 雑
七 悲の器ココアひと匙啜らむと 宣 雑
八 マザーグースの詩篇詠みしか 不 雑
九 夏の月唐傘さして鈴つけて 宣 夏 月
十 あれは俳人だ蚊にさされてる 不 夏
十一 不思議なく川は流れる花の下 宣 春 花
十二 タイムマシンで〇九・二・二八 不 春
ナオ
一 忘れ雪忘れることもなく雛(ひいな) 不 春
二 ふと鳴り出した売りに行く時計 宣 雑
三 津軽来て二人の修治マント脱ぐ 不 雑
四 マッチの青いたじろぐ炎 宣 雑
五 オーロラと氷の海のシンフォニー 不 冬
六 神の命の声凍えたる 宣 冬
七 日輪の卑弥呼の恋の物語 不 雑 恋
八 女心は風の手鏡 宣 雑 恋
九 カルメンの薔薇に弱いは男伊達 不 雑 恋
十 白鳥姿アポロンの舞い 宣 雑
十一 月煌々火消しの鳶は江戸の花 不 秋 月
十二 和合取り組みお相撲さん 宣 秋
ナウ
一 焼酎に枝豆可なり一膳屋 不 秋
二 晴れ晴れと見る陽の入る地平 宣 雑
三 隠岐はいま古の歌彷彿す 不 雑
四 大和心を駅鈴に聞く 宣 雑
五 花あらば俳諧の花また盛り 不 春 花
六 飛べ蜜蜂よ還らぬもよし 宣 春