半世紀越えた昔の物語どの花びらも海に散りゆき
島バスの岬回れば又岬キャンバスかかえ美の使徒であり
連翹の花枝撓む島裏にひそやかな恋散り過ぎにけり
美しき渚に囲まれ瀬戸内のオリーブの島青春の島
依怙贔屓をしたとは思わねど心の傾斜ありしか若き至らぬ若き日
ひたすらの慕情に応えることできず広くて薄き汎愛で終わる
盲目の崇拝をする島人のさがありうしろめたき師であり
一人ひとり名前と顔は若き日のそのままにして今いかならん
血統というのも辛し負荷背負い生きねばならぬ子に何もできず
友達に弾き出されし子がありて救ってやれなかった悔い今もあり