文藝一般

石の想像力

『空を引き寄せる石』蜂飼耳 「厄を割る石」なるものが、久しぶりに参った神社で、変貌を遂げていたのである。これまでは普通の庭石にすぎなかったのが、「ありがたい石」に格上げされていたらしい。素焼きの盃を取り、石に叩きつけて割る。呪いの厄割りであ…

一陣の風になって

『風化する女』木村紅美 自殺した職場の先輩「れい子さん」を語る「私」の回想録(比喩的に言えば、挽歌)で、三十歳前の女性にしては心の襞の深さ、豊かさで好感の持てる小説である。 その先輩は一般事務職のままで二十年ずっとその会社に勤め、無断欠勤を…

花岡青洲の妻

青洲の麻酔薬はようやく完成しつつあった。と言っても、動物実験だけであり、この先、人間で試すにはどうすべきかと途方に暮れている。そんな青洲に、於継は実験台になると言い出す。それを聞いた加恵も俄かに、自分で試すようにと迫る。どちらも引かないの…

菊池寛記念館文芸講座予定

五木寛之新聞小説「親鸞」連載中

四国新聞連載中 五木寛之「親鸞―激動篇―」 四国新聞は本年一月一日から、再び四国新聞で「親鸞」の連載を始めた。四国新聞だけではない。他に地方紙四四紙で連載されている。空前の発行部数一七〇〇万部という。 これまで平成二十年八月から翌二十一年九月…

「龍馬伝」終わる

「大政奉還」 そして、海の向こうに開かれた世界を夢見ながら、大河ドラマの龍馬は、 今夜とうとう非業の暗殺、不帰の客になった。しかし、日本人の心に永遠に生き続ける。 「大政奉還」勤王党に属する維新の志士が、多く土佐に生まれた起因の一つに 勤王的…

鞠子

鞠子 もっとも抵抗力のある鞠子 その白い鞠子が舞い込んできて 我が家に住み着いている 円満具足の鞠子

じっと待つ

(ただ今、かつての同僚からこんな絵手紙が来ました) じっと待つ じたばたしないで 運命に身を任せて じたばたしても始まらない 果報は寝て待て そんな甘い考えではないけれど もうしばらく余生を楽しめる 猶予をひたすらに待つ じっと しずかに待つ 手足を…

まとめて絵手紙いただく

簡潔な言葉に、はち切れそうな写生画 絵手紙の魅力です。 これを始めて、数年になるのでしょうか。 すっかり上達していますね。 数枚の今日の作品はさらりとして 特に境涯は感じさせません。 恬淡として書かれたものか、元気な時のものか。 とにかく、すべ…

存在を訴えている 切られた山椒

今日、こんな絵手紙が届いた。 きっと山椒は怒っているいるのだ。 悲しんでいるのだ。 枝を突然切られて。 鋭い棘を出し、 芳香を放って、 存在を訴えている。 秋だというのに。

沖縄について語る資格があるか

我々日本本土に住み着いているものが、沖縄について語る資格があるか。もし、沖縄について語れと言われたら、辞退するのがいいのか。この際、にわか勉強でもいいから形ばかりでも間に合わせるのがいいのか、私には分からない。一旦引き受けたら、少しでも沖…