2011-06-01から1ヶ月間の記事一覧

帚木に影といふものありにけり

虚子自選句集にこの句「帚木に影といふものありにけり」が取り上げられている。単なる写生以上の主情的写生、影をこそ実在的とみた虚子の本領が発揮。 『俳句大観』虚子の部より 坊城俊樹の「高浜虚子の100句を読む」より

『源氏物語』帚木の巻に見る帚木幻想

与謝野晶子訳『源氏物語』帚木の巻(末尾) 光源氏が空蝉と交渉をもつところ… 歌の贈答に「帚木(ははきぎ)」が詠まれる。 「こんなことをして、姉さん。どんなに私が無力な子供だと思われるでしょう」 もう泣き出しそうになっている。 「なぜおまえは子供のく…

東日本、北日本の境は?

「東日本大震災」の「東日本」の範囲は? 日本の東北部(地方)であって、東半分ではないはずだが… 「北日本」との境は? 北海道だけでなく、東北地方は本州の北部として明確。とはいえ、東日本→北日本大震災とは言い難い。「東北大震災」が実状・実態に合う…

朝日新聞の誤字?

「有馬皇子」ではなく 「有間皇子」のはず。 「有間」皇子は孝徳天皇と阿倍内麻呂の娘、小足媛との間に 生まれた。 小足媛と「有馬」温泉滞在中に 生まれたのが名の由来。ただ、現在は「有間皇子」に統一されて表記されている。

6月13日 誕生日の花・花言葉・歌句・万葉歌

6月13日 誕生日の全国35万人の皆さん、おめでとうございます (拙句) 舞鶴も鶴舞橋も聖少女 雅舟 6月13日 【花】 マイヅルソウ(ユリ科) 【花言葉】 清純な少女の面影 【短歌】少女らのおもかげありて舞鶴草白くさやかに咲きひろがりぬ 鳥海昭子 …

短冊二百九十四

二百九十四 嬉しさは眼鏡もいらぬ月見かな ・・

短冊二百九十三

二百九十三 春の波残し去りたる砂絵かな 虚子

短冊二百九十二

二百九十二 手鞠・順ひ・ふ子の日向哉 素石

6月12日 誕生日の花・花言葉・歌句・万葉歌

6月12日 誕生日の全国35万人の皆さん、おめでとうございます (拙句) 友情の木は聳え立つ白い花 雅舟 6月12日 【花】 ヤマボウシ(ミズキ科) 【花言葉】 友情 【短歌】 ゴンドラの下にひろがる山法師箱根の山を友らと行きぬ 鳥海昭子 友人らと乗…

6月11日 誕生日の花・花言葉・歌句・万葉歌

6月11日 誕生日の全国35万人の皆さん、おめでとうございます (拙句) 忍冬愛の絆を確かめて 雅舟 6月11日 【花】 スイカズラ(スイカズラ科) 【花言葉】 愛の絆 友愛 【短歌】 君が育て君が摘み来し食卓のスイカズラ甘く匂いていたり 鳥海昭子 あ…

伊吹島のアクセントは京阪型

観音寺沖にある伊吹島には、昔の京都式アクセントを伝える貴重なアクセントが今なお残っている。そのことは数十年前、香川大学生妹尾修子さんが卒業論文で取り上げ、指導教官和田実先生が学会に紹介された。その後金田一春彦先生の実地検証もあり、やや疑問…

苗代の苗取り

早苗とる手もとや昔しのぶ摺り 芭蕉 『奥の細道』にある芭蕉の句。苗代で早苗を取っているのを見ていると、 昔、しのぶ摺りをしていた姿が思い浮かんでくるというダブルイメージ を詠み込んだ名句。

6月10日 誕生日の花・花言葉・歌句・万葉歌

6月10日 誕生日の全国35万人の皆さん、おめでとうございます (拙句) ひたむきの愛の形の雪ノ下 雅舟 6月10日 【花】 ユキノシタ(ユキノシタ科) 【花言葉】 切実な愛情 博愛 【短歌】 ユキノシタ煎じて咳止め作りたる若かりし日の母を想えり 鳥海…

6月9日 誕生日の花・花言葉・歌句・万葉歌

6月9日 誕生日の全国35万人の皆さん、おめでとうございます (拙句) ガーベラは一家団欒それも夢 雅舟 6月9日 【花】 ガーベラ(キク科) 【花言葉】 神秘 一家団らん 【短歌】花活けのガーベラの茎のびいたり家族がすでに眠り入る夜半 鳥海昭子 「…

生きていたら描いた画

『奥の細道画巻』蕪村 本書は芭蕉の『奥の細道』を蕪村が俳画にしたものである。蕪村の俳画は、画俳両道を完全にマスターして初めてできる画域である。芭蕉は至る所、古跡で懐旧の涙に咽んでいる。蕪村の感銘も同じで、風光の美より人間愛にうたれている。描…

蕉門十哲

『芭蕉の門人』堀切実 蕉門十哲に誰を擬するかについては、江戸中期から明治期に至るまで、さまざまの説が飛びかってきた。それらの諸説に共通に挙げられるのは、其角・嵐雪・去来・丈草の四哲である。本書では総合的判断でそれらに加えて、杉風・凡兆・許六…

震災で出て来た自筆本

『芭蕉自筆「奥の細道」の謎』上野洋三 岩波の影印本に続いて、自筆本の問題点を掘り下げた、かなり専門的な研究書ではあるが、芭蕉・奥の細道に関心のある人ならば、煩を厭わず読んでいくと、その追究心に敬服するだろう。 自筆本10641字の総点検をし…

人麻呂の意識

『柿本人麻呂』山本健吉 一首一首の歌の註釈より、もっと大切なことに著者は気づく。「人麻呂における詩の誕生」と題する論考において、「詩人としての彼の偉大さは、長歌ではなく、短歌的抒情を完成したことにある。短歌において、彼は詩の自覚に到達したの…

芭蕉と宗鑑

『芭蕉の表現』上野洋三 「古池や蛙飛こむ水の音」…この天下に知られた芭蕉の名句。この句の解釈にしてもおざなりにはしない。蛙を詠む場合、これまで聴覚的にとらえてきた「鳴く蛙」に対して、視覚的に、身体をそなえた蛙が「飛ぶ」ところをとらえたのは、…

白峰と歌の求道者

『西行』目崎徳衛 『西行の思想史的研究』の著者が、一般読者のために平易に興味深く紹介した伝記である。佐藤義清の公私生活、遁世の理由、数寄の種々相、仏道修行者として(讃岐への修行を特別視)、乱世の晩年、弘川寺の入滅、と実証的記述に心がけてはい…

円地源氏

『なまみこ物語・源氏物語私見』円地文子 『源氏物語』の現代語訳をしている著者の「源氏物語私見」が収載されている。「空蝉の顔かたち」「夕顔と遊女性」「紫の上のヒロイン性」等平易に書かれているが、「六条御息所考」は綿密に考察されている。一般に、…

宣長と源氏 二

『恋と女の日本文学』丸谷才一 著者の評論「恋と日本文学と本居宣長」で次のように言っている。失恋の経験が宣長に『源氏物語』を読み取る目を与えた。この物語は淫乱の書ではない。不倫を教え、あるいはそれを訓戒する書でもない。むしろ人生の最大の出来事…

読むことで書き直す

『小説の読み書き』佐藤正午 この人独特の言い回しが面白い。「文章を書くとき、人は書き直すという意味でその言葉を使っている」すなわち「推敲」ということになるのだろう。そして、読者が「読むことによってさらに小説は書き直される」とも述べている。こ…

辞書の裏

『国語辞書事件簿』石山茂利夫 『広辞林』(通り名・コージ林)漢語の見出し語に発音式仮名遣いを採り入れた。126144語収録。 『辞苑』新村出編。昭和10年刊。広辞苑の前身。コージ林をおさえ辞書界を席巻した。 『広辞苑』新村出編。長い間「国民的辞書」…

六十からの青春

『老楽力』外山滋比古 ウルマンの「青春」は初めの数行が特に有名である。 青春とは臆病さを退ける勇気 安きにつく気持ちを振り捨てる冒険心を意味する ときには、20歳の青年よりも60歳の人に青春がある 年を重ねただけでは人は老いない 理想を失うとき…

小督の里での文学的日記

『芭蕉紀行文集』岩波文庫 今も京都の郊外嵯峨にある落柿舎。門人去来の別荘であった。芭蕉は元禄4年4月18日から5月4日までここに滞留した16日間の日記である。古来風雅であるこの地に篭もった機会に、一種の文学的日記を書こうとした。嵐山松尾神社…

肩肘張らず

『にほん語観察ノート』井上ひさし 〈外来語の表記〉「モチベーション」と発音しても外国人に分からない。「モティヴェーション」と発音すると、「動機づけ」であることが分かるのではないか。 〈熟さない外来語より日本語を〉「スキーム」「コンセンサス」…

宣長と源氏 一

中公版日本の名著『本居宣長』 宣長の「源氏物語玉の小櫛」は「もののあわれ」論を唱えた評論として知られている。本書は西郷信綱の現代語訳として掲載されている。儒教・仏教的観点から好色を戒めるのではなく、恋する人の姿や心情を書いたもので、そこにも…

阿留辺幾夜宇和

『明恵』寺林峻 この小説は明恵上人の一代記である。明恵は鎌倉前期の華厳宗の僧。厳密に言えば僧籍にはなく、上人(聖)であった。紀州有田の生まれである。 この小説では幼名を薬師丸、京都の神護寺「明恵坊」で文覚の教えも受け修業を積む。 「早十三歳に…

私には失望は無縁だった

『あらすじで味わう昭和のベストセラー』井家上隆幸 一編のあらすじが本書では数ページにわたってくわしいので、ありきたりの粗筋ではなく、かなり細かいストーリーもわかる。多くは大衆文学である。 大佛次郎『鞍馬天狗』吉川英治『宮本武蔵』下村湖人『次…